・一九八一年四月二十七日 日曜日午後三時
その日、昼寝から目覚めると、珍しくオートバイに乗りたくなった。
そしてどこに行くでもなく国道一号線を京都に向かって走っていた。
そして、気づいたときは遅かった。
自動車がこちらみ向かって走ってくる!
“何なんだ、これは!”
分離帯のある国道でクルマがこちらに走ってくることはありえない。
ありえないから夢に違いない。ともかくブレーキをかけなければ。
だが、とうてい間に合う距離ではない。
急ブレーキの音。
スローモーションのようにクルマが近づく。
ゆっくりと接近……そして……ガッシャーン!
………………………………………………
“ん? 痛くない…………”
周りを見ると、オートバイが横転……
バウンドしながら横すべりしていく……
自分の身体も吹っ飛び、道路に叩き付けられる……
ヘルメットがこわれて、道路を転がっていく……
それを見ている私。私は、自分の交通事故を目撃しているのだ。
ヘルメットは歩道を歩いている女の人の足元まで転がっていった……(p18-19)
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